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おやすみのその後に 1)抗インスリンホルモン

2011-06-10
「おはようからおやすみまで・・」
とは某大手企業のコピーなのでありますが、糖尿病療養をしていると、この言葉を思わず使っちゃいたくなる局面があります。生活に合わせたインスリン調整の必要性を常々口にしている私ですが、でも人に具体的にこういうときは何単位?なんて聞かれてもそれは答えられません。カーボ/インスリン比でインスリン量を算出するという考え方は言えますが、その数値がどんだけかなんてのはそれこそおはようからおやすみまで暮らしを見つめる暮らしを数週間過ごしていないと言うことはできません。仮に過ごせたとしてもその時々の体調や体感のことまではわからないので、自信はありません。自分の血糖コントロールにはあれがこうなってそれがあーだったからこうなったのであろうなんて説明をくどくどすることできますが、所詮それは自分だけのものでしかありません。私でなくて、とっても優れた医療者だったとしても考え方しか語ることができないんですよ、あとは個々人で噛み砕いて実践していく他はありません。

でも、困ったことに考え方でもまだ定まっていない難解な問題もあります。それは睡眠時の血糖コントロールです。早朝時に抗インスリンホルモンが増大をはじめる暁現象や低血糖からの反動で起こるソモジー効果は昔から問題視されていました(知らない方は調べてね)。基礎インスリンの補充にインスリンN製剤を使用していた頃(カーボカウントもまだ広まっていない頃)、1型糖尿病療養の話題はこの2つの問題を中心に議論されていました。持効型インスリンとインスリンポンプの登場で現在ではさほど議論されなくなった感はありますが、それでも依然として睡眠時の血糖コントロールに苦渋する患者は多く存在します。さてではこの困った問題をどうするか、今回は述べられることの少ないこの問題への対処法について取り上げている [K.Jauch-Chara他 "Sleep and response to hypoglcaemia" Best Practice & Research Clinical Endocrinology & Metabolism vol.24 801-815(2010)] から情報をお届けします。

夜間の低血糖、糖尿病患者にとってそれは怖い怖いインスリン療法の副作用です。夜間の低血糖は睡眠障害および心理的不安、過食、そして血糖コントロールの悪化など様々な問題の誘因となります。文献によると重症低血糖のおよそ55%が夜間に起こるそうです。原因は 1)寝ているので血糖自己測定が行えないことと 2)低血糖に対する生理的防衛能の低下が挙げられています。

生理的防衛能が低下していない場合に低血糖が起こると
 1)血糖値80-85mg/dl でインスリン分泌が低下
 2)血糖値65-70mg/dl でグルカゴン分泌が増大
 3)血糖値65-70mg/dl でコルチゾール、アドレナリンやその他の抗インスリンホルモンの分泌が増大
それ以下では中枢神経症状、脳の機能が低下し意識の消失、昏睡、最悪の場合死に至ります。

2)と3)が同じ数値なんですけど、2)の方はインスリン分泌低下によるもの、3)の方は低血糖の頻度によりその閾値(反応をはじめる値)が変化することが説明されています。私のつたない理解で解釈を述べさせていただくと、グルカゴンとインスリンはどっちかが出ている時はどっちかが減るという関係に考えられていて、よってグルカゴン優位で血糖値が上昇してしまうケースでの対応策は単純にインスリンが相対的に不足した状態と捉えて良さそうです。(勿論例外はありますが・・) それ以外の抗インスリンホルモンは定点的なインスリン濃度や血糖値というより、平常時の血糖値の状態からどれだけ数値が増減したかに影響を受けるようです。平均的な血糖コントロールでは上記の数値が目安となるでしょうが、高値安定のコントロールではその数字が高く、低血糖頻発のコントロールでは低くなるようです。血糖コントロールを難しくする抗インスリンホルモンの影響を小さくするためには、波の小さい平坦な血糖コントロールを心掛ける必要があります。

あとここが大事なんですけど、インスリンとグルカゴンについてはほぼ血糖値の調節を専業としていますが、その他の抗インスリンホルモンではそうではありません。コルチゾールは抗ストレス反応が主たるお仕事で、病気や怪我をした時に血糖値が上がったりするのはこいつの仕業です。アドレナリンも心拍数増加や血圧上昇といった大事な仕事を他に持っています。患者の皆さん、昼寝をすると血糖値が上がったりしませんか?私がそうなんですけど、その原因は運動不足ばかりではありません。昼寝をすると血圧がドーンと下がったりします。そうなると血圧を上げるためにアドレナリン分泌が増えます。そうして血圧ついでに血糖値まで上げてしまうのです。糖尿病患者はどうしても血糖値の動態ばかり気にして(されて)しまいがちですが、必ずしもそればかりではないということも忘れずにいてほしいところであります。

さて、整理してまとめるとすると、この問題の解決には、抗インスリンホルモンの動態に合わせたインスリン補充をするというある意味カーボカウントより難しい課題の克服が必要なわけです。カーボカウントの考え方が広まり、食事に合わせたボーラス(食前)インスリンの調整ばかり語られている感がありますが、本来強化インスリン療法で一番最初に検討するべきは適切な基礎インスリンの補充です。しかしカーボの総量の計量法はわりかし簡単に語れますが、こっちの基礎インスリンの調整法については語れるだけの根拠がまだ少ないんですよねぇ。聞いた話によると強化インスリン療法している患者はボーラス(食前インスリン)を過剰気味に、そして基礎を不足気味に調整しているケースが多くみられるそうです。波の大きな血糖コントロールは低血糖時の拮抗反応を低下させて悪循環を生み出します。これは、どげんかせんといかんです!

睡眠中の血糖コントロールについて、残念ながら「こういう風にすれば大丈夫!」といった解決策はまだ明確にされていないようです。インスリンポンプはおそらく大きく貢献できるでしょうが、データの集積がまだ不十分なようです。それでもそれを試みた研究はいくつかあります。次回はそれらの研究結果を取り上げ、心地よい睡眠の達成方法について考えてみます。

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16(いちろく)

Author:16(いちろく)
T1DM暦14年の世迷い人。2013.6月よりインスリンポンプはじめました。。withノボラピッド⇒ヒューマログ
カーボカウントのこととか、食と健康についていろいろ学んだことを綴ります。
すべてはHappyな未来のために・・・

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